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~THE NORTH WIND~

北朝鮮拉致問題
「北の風に吹かれて」を歌う
フォークシンガー 野田旭さん

「あまりにも惨い話だと思った。とめどなく怒りが出てきた」と思い起こすのは、

福生のライブハウスや「あきる野音楽市場」などで活躍するシンガー・ソングライター野田旭さん(26)。

北朝鮮拉致被害の問題を風化させないでと機会あるごとに訴えて、ステージでは自作のこの歌「北の風に吹かれて」を弾き語る。

歌詞は、事件を知った誰しもが感じたことを言葉にしたもの。拉致被害者の一日も早い家族との再会を願う誰もが共感できる。

拉致被害者の存在を知りながら後手後手に回る日本政府の対応や被害者を交渉カードに使おうとする政治に誰しもが怒りを感じ

「あまりにも惨い」と思ったその時を蘇らせる。世論を死なせるな僕は歌い続けます野田さんは

「一番恐ろしいことは世論が死んでしまうことです。ニュースが新しいニュースに次々に入れ替わって拉致問題が忘れられてしまう。

報道は国民に何度でも事件の経過を伝える義務があります。

もし、自分の大切な家族や友人が訳の分からない連中に連れて行かれて一生逢えないとしたら許せませんよね。

この『無差別北朝鮮式無理矢理連行大事件』は他人事ではありません。僕は歌い続けます」と記者に熱く語りかける。

野田さんの歌の叫びが多くの人に共感され、世論を動かすことで、拉致された人や家族が一日も早く帰国できるようにと願わずにいられない。

 

「北の風に吹かれて」

海を越えた遠い空の下

渇ききった大地と咲くことのない花

誰かが奪った夢の羽を持った小鳥

時の流れの間で苦しむ姿が見えるかい

 

答えは風が知る雨は見てる

答えは太陽が知る空は見てる

 

北から吹いた悲しみの風は

水平線を黒く染めてしまいそうで

嘘の安全と平和に包まれているこの国は

何処にいって何時滅びてしまうのか

(つづく)

2003,4,25付「Weekly News 西の風」抜粋

野田旭さん 
心から「拉致被害者救出」訴える

『北から吹いた 悲しみの風は 水平線を 黒く染めてしまいそうで』

夕暮れ、JR吉祥寺駅近くのライブハウス。フォークシンガーの野田旭(26)は、

ギターとハーモニカの荒々しい調べで、オリジナル曲「北の風に吹かれて」の

歌詞を一語一語、心にかみ締めながら歌いあげた。

眉間にしわををよせ、遠い目をして注ぐ視線の向うには、

日本人拉致を認めた北朝鮮という国がある

野田は大阪弁で静かに語りかけた「横田めぐみさんの拉致。

こんなむごい話はないですよ。怒りを覚えるし、

それは日本人の素朴な気持ちじゃないですか。

でも、国もマスコミも、おかしいことをおかしいと言えなかった。

それなら自分が生涯かけて、歌で世の中を変えたい。

風化はさせません」生まれも育ちも大阪。

高校入学の直前、アルバイト先で、休み時間にフォークソングを

ギターで弾き語りしていた男性従業員にあこがれた。

次の日にギターを購入。数ヵ月後、客を呼べる腕とはとはいえないまま、

阪急梅田駅前や周辺商店街に立ち、路上ライブを始めてしまった。

ギター演奏に自信がついた二十歳のとき、

路上ライブの聴衆の一人だった少女が話しかけてきた。

「自分の歌を歌わないの?」何気ない質問にたじろいだ。

フォークは心の叫び、メッセージを伝えるものだ、

という信念を思いだしたからだった。「自分の心の叫びを歌わなくてどうする」。

その日限りで他人のコピーをやめオリジナル曲で勝負することにした。

平成十四年九月十七日。生涯をかけて訴えたいテーマをみつけた。「拉致被害者救出」。小泉純一郎首相訪朝で報道された

「横田めぐみさん自殺」の記事に衝撃を受けたからだ。「外は雨が降っていてどんよりと薄暗い生涯忘れられない日となりました。

悲しすぎますよ。他人事では済まされない。歌わずにはいられません」。すぐにメモと鉛筆を取り出し、「北の風に吹かれて」をつくった。

 

『嘘の安全と平和に包まれているこの国は何処に行って何時滅びてしまうのか・・・』

 

「政治家の命が言葉なら、歌だって世の中変えるぐらいの力はある」

 

2003,6,29付「産経新聞」抜粋

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